小山の中に佇む自然豊かな敷地で、自然を単に眺める対象としてではなく、 自然の多様な露出を選択できる空間へ再構築しています。
なおかつ、デッキや平行複線、中間領域などを介して、内と外、屋内と屋外の 境界が重層的に構成されるようにデザインしています。
また、建物の中の植栽やテラスの開閉によって、内部空間を自然に近い状態に なるようにします。
自然を眺めるだけでなく、自然の質感を取り込む仕組みをつくることが ポイントになります。内と外を一体化させることで、内の分節が曖昧になり、 自然を取り込む手段としての半屋外の食堂が提案/配置され、 しかも、人の動きの移り変わりを楽しめるようにする空間です。
店舗・工房・住居が共存する複合的な空間として、パブリックとプライベートの空間を明確に分節するのではなく、ある程度の連続性をもたせる構成を提案しています。
ただし、それぞれの空間が天井の高さの有無、奥の遠近感、壁の透過性などによって、奥へ連続するかどうかを感じられるようにしています。
また、壁の透過性や移動動線に余地を残し、回遊性を確保しつつ、各々の空間の間合いが確保されるようにしています。
たとえば店舗と住居の間合いは、時には壁で区切り、時には壁を取り払い、視線や人との距離を自由に選択できるようにしています。